魚を盛りつける際に納まりがよいのは、やはり横に長い皿。
丸い皿に盛ると余白をもてあましてしまいがちですけれども、横長の皿だとそれがない。
「土ものの長角皿はありませんか?」とお探しの方は多いです。
でも実は、作家もので土ものの長角皿というものが、あまりない。
作るのが難しいのだ。
四角く角のある器は、土が乾燥する際の張力で、角から切れてしまうことが多い。
粒子の荒い土だと乾燥の収縮率が高いので、ヒビや割れが出やすい。
そして平たい皿、タタラで作る皿は、窯の中で焼かれている間に歪みやたわみが出やすい。
何十枚焼いても、器としてとれるのは数枚だったりする。
量産品の器の長角皿は、生産効率のよい歪みのでにくい精製された土を使っているので、デパートなどだと見かける。
でも作家は、土と焼きが出す表情を大切にしてるため、荒めで歪みの出やすい原土を使う。
効率も悪ければ、歩留まりも悪い。
仕事として難しい。
なので、なかなか作家もので土もので角皿、というものには出会えないのです。
が、尾形さんは、そんな効率の悪い荒めの土を使って、器としての重さや厚さ、使い勝手の揃った角皿を作っています。
それがこの皿。
白化粧に泥ヒビがはいり、灰釉の緑色が溜まったり、御本のピンク色がでたり、鉄粉があったり、焦げ跡があったり、表情豊か。
額縁(リム)があり、中心はフラット。
アジの干物とか焼き魚を盛るのに丁度よい大きさです。
焼き鳥とか、居酒屋皿メニュー系が似合う。
魚を食べたくなる皿。
W21.5cm D14cm H2cm 5250円。
カッコいい皿です。