家で作る、ごくごくありきたりのおかずを盛った時に、美味しくしてくれる器。
そういう器が好きです。
気取りがなく、かといって個性がないわけでなく。
実用一辺倒、ではないもの。
店でお付き合いさせていただいている作り手の器は、そういうものが多い。
作り手はも必ずしも「普段使いの器」を意識して作っているわけではない。
作家としてやるからには「陶芸」を志している人が圧倒的だ。
そこには、使い手からは窺い知れない、土や釉薬、焼き方、その歴史、その仕上がりに、相当のこだわりがあり、ここは譲れない一線と、その闘い、みたいなものがある。
その上で「普段使いの器」になるべく、足されたり削られたりしたもの、が、店に並んでいる。
そういうものを、店に並べたいと思う。
そういうものの持つ美しさを伝えたいと思っています。
民藝でいうところの用の美、からは少し離れていると思う。
作家は職人とは違う。
「作家」という人が作り出す、その人の世界が凝縮された、ちょっと個性のある器。
人が感じられる器。
そういうのが好きです。
そんなことを考えながら、増田勉さんの器に春菊のごま和えを盛りました。
あいかわらず意味不明。
まぁ、それはそれでいいではないか。