うつわ好きになったきっかけは「粉引の器」です。
という方はとても多いです。
それほどに、魅力のある器なのですね。
でも、それだから、最初に失敗してしまって、和食器は難しいと思われてしまうこともあったりします。
和食器のことは、ちょっと知っていれば「失敗しちゃった」がなくなりますし、深く知っていれば「納得」「だからこうして使おう」が自然に、普通に、当たり前にできます。
なので、もう少し粉引の構造の話にお付き合いくださいね。
前回(→こちらの記事)では粉引が3層構造だということをお話しました。で、今回は、「3層構造だとなぜ、染みになりやすいか編」です。
粉引の器の断面を拡大してみると、
素地の粒子、
白化粧の粒子、
釉薬の粒子、
それぞれの粒子の大きさが違います。
素地の粒子が一番大きく、
つぎに大きいのが白化粧の粒子、
一番小さいのが釉薬の粒子です。
器は窯に入れて炎で熱した際に、それぞれの粒子が熱によって溶けて結合します。
それが焼きあがると、しっかりとした器として機能するわけですが、この結合が、それぞれの層で粒子の大きさが異なるために、違う層同士の結合が甘いのです。
2層構造の器の場合、粒子の細かい釉薬が粒子の粗い素地土に入り込んで結合しますので、その結合はある程度なじみ、強いものとなっています。
3層構造の場合、粒子の細かい釉薬は、白化粧の部分とはある程度結合しますが、素地までは届きません。素地は白化粧部分と結合しています。
で、だ。
器は使うときに「熱」が加わりますよね。熱いものをのせたり、冷たいものをのせたり。
物質は熱を加えると「膨張」したり「収縮」したりしますよね。
その膨張、収縮率は、物質によって違いますよね。
粉引の場合、この膨張・収縮率が各層によって違うので、熱を加えた際に各層で引張りあい、層と層の間に小さなクラック、亀裂が入りやすいのです。
器にお料理を盛りつけた際、亀裂ができ、そこにお料理の汁が入り込む。
なので、染みになりやすいのです。
ご理解いただけましたか?
まだまだ、粉引の話、つづきます。